映画を観はじめて、思い出したことがある。筆者はかつて出版社に勤務していたが、ストレスで心がくたびれ果てていた時期に一番リフレッシュできた仕事は、芸能人や文化人へのインタビューだった。
理由はいくつかある。
まず、インタビュー相手は筆者について、出版社の編集者であること以外、何の情報も持っていない。ゆえに筆者としては、日々のつらい状況とはまったく無関係の話題で談笑することができ、相当な気晴らしになった。事情を知らない人間との他愛もない会話は心を癒やすのだ。
また、インタビューというものが、雑誌や書籍といった「ものをつくる」ために行う仕事である点も大きい。大袈裟に言えば、創造性と生産性に富んだ行為だ。創造や生産は、鬱を確実に緩和する。
心が沈むと、明るい未来がまったく想像できなくなくなる。今までの努力がすべて徒労だったと思い込む。「この先、何もいいことがない」というネガティブな思考に陥る。しかし、自分がいま手を動かしていることが、何かを生み出す前向きな行為だと感じられた瞬間、心は少しだけポジティブになれる。
アダマンも同じ機能を果たしている。自分を知りすぎていない人たちと交流する場、かつ、何かを創造する場なのだ。
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