SOUL’d OUTの“異端”性の原点――サザンオールスターズとの関係

 まず、SOUL’d OUTが「日本のヒップホップ」のファンからしばしば異端と見なされ、時にいわれなき批判に晒されてきた要因について考えたい。服装・髪型などファッション面でヒップホップ色を強く打ち出しながらも、「反社会的な振る舞いやダーティなスラングを用いない、ポジティヴなリリック」「非常にキャッチーなメロディのフック」を持つ彼らの楽曲は、確かにメインストリームのJ-POPを射程に捉えているようにも映る。だがこうした特色は「サザンオールスターズのように多くの人に愛されるグループ」を目指したというDiggy-MO’の言葉通りでもある。

 SOUL’d OUTの音楽性は決して“セルアウト”を行った結果によるものではなく、そもそも最初の立ち位置およびゴール設定が従来の「日本のヒップホップ」の範疇から完全に外れていたのだ。そのことは、メジャーデビュー前の唯一のリリース『DEMO TRACKS』(‘02)が極めてR&B色が強い内容だったことからも明らかだろう。それでいて「多くの人に愛される」ために個性を曲げることなく、むしろその個性を前面に押し出した上で成功を納めたことは、ソウル~ラテン色の強い「勝手にシンドバッド」で“ロックバンド”として鮮烈にデビューしたサザンともどこか通ずるものがあるように思える。