ジャニーズ事務所の企業としての社会的責任が問われるなか、ジャニーズ側は一貫して〈経営陣、従業員による聖域なきコンプライアンス順守の徹底、偏りのない中立的な専門家の協力を得てのガバナンス体制の強化等への取り組みを、引き続き全社一丸となって進めてまいる所存〉などと回答するのみにとどまり、性加害疑惑について具体的な言及を一切してこなかった。その姿勢に批判の声が高まっていたが、21日、ジャニーズをめぐる報道が一変する。

 同日夜、東京新聞や朝日新聞などが一斉に、ジャニーズ事務所が一部の取引先企業に対し、「私たちは本件につき、問題がなかったなどと考えているわけではございません」「このようなメディアでの報道、告発等については真摯に受け止めております」とする文書を内々に送付していたことがわかったと報じた。

 報道によるとこの文書には、社員や所属タレント向けの相談窓口をすでに設けて「ヒアリング及び面談」を実施してきたほか、元所属タレントに対しては外部専門家の相談窓口を設けて個別に応じる準備を進めているなどとも説明されていたという。

「文春の独自調査によれば、120社以上に確認したところ、無回答などをのぞけばほとんどが文書を受け取ったと回答。代理店など含めかなり広範囲に送付されているため、情報が漏れるのは理解できるが、問題はその報じられ方。カウアンによる12日の記者会見は、大手新聞もようやく取り扱う姿勢は見せたものの、NHKが翌日の夕方のニュースで2分にも満たない時間で触れた程度で、地上波ではゼロに等しい扱いだった。ところが、ジャニーズ事務所が対応を進めているとする報道が出た途端、翌日にはNHKが昼と夜に2度報じたほか、TBSの『サンデーモーニング』、フジテレビの『Live News イット!』を始め、各局が一様に取り上げた。記者会見はスルーするのに、公に発表されたわけではない内部文書については一斉に取り扱うということは、“ジャニーズ事務所側が取り上げてほしい情報”を選んでいるということでしょう」(芸能記者)