近年ディズニー社は、積極的にマイノリティを主人公にした作品を発表し続けているし、パリではミニーマウスがスカートからズボンを纏う変更を試み、南部での差別を描いていない『南部の唄』をモデルにしたアトラクション、スプラッシュマウンテンを廃止したりと、ウォークな取り組みを率先してきた。2022年は、フロリダ州で公教育の場において自身の性自認を語ることを禁じる州法、いわゆる「Don’t Sayゲイ法」が可決すると、州知事のロン・ディサンティスに抗議の意を示し対抗したことも記憶に新しい。
このような近年のディズニーのあり方に対し、保守層は繰り返し意を唱えてきた。そして今エンターテイメントがダイバーシティに急速に舵を切る中で発表された「ブラック・アリエル」にも、彼らの多くがSNSを中心に噛みついたのである。
しかしここで強調したいのは、こうしたディズニーの政策は何も、今にはじまったことではないということだ。そもそもプリンセスでみても、89年の『リトルマーメイド』の大ヒット以降に訪れた「第二次黄金期」の作品群のプリンセスは、『アラジン』のジャスミン、『ポカホンタス』に『ムーラン』また『ノートルダムの鐘』のエスメラルダと有色人種が並ぶ。
実写版に目を移しても97年に製作されたテレビ作品の『シンデレラ』では主演を黒人シンガーのホイットニー・ヒューストンが務め、王子役にはアジア人のパオロ・モンタルバンが起用された。17年のミュージカル版『リトルマーメイド』では主演に、日系女優のダナ・ヒューイが抜擢され、全米ツアーを成功させている。
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