19年度の保険診療の内訳は、診察等の医療費約1900億円、内服薬約1700億円だ。また、市販薬の市場規模は約400億円と推計されている。
花粉症を含むアレルギー性鼻炎の治療では、症状を抑えるための対症療法と症状が出ないようにするアレルゲン免疫療法などがあり、対症療法では軽症から中等症には内服薬、点眼薬、点鼻薬が、重症には注射を用いた治療などが行われているが近年、皮下注射よりも負担の少ない治療法として舌下錠が開発されたものの、普及が不十分な状況にある。
また、厚労省では花粉症を含むアレルギー疾患に対する医療提供体制の整備を進めている。国が指定する中心拠点病院として2カ所、都道府県が指定するアレルギー疾患医療拠点病院が47都道府県に78医療機関(23年3月時点)ある。
このように、花粉症に対してはスギの伐採や花粉飛散防止剤の開発などの抜本的な対策から、治療薬・治療法と専門医療体制の整備という両面からの対策を進めていくことになるが、現実問題として政府が進める花粉症対策が効果を上げるには、まだまだ長い時間と道のりが必要で、花粉症は当分、人々を悩ませることになりそうだ。