また、少花粉スギや無花粉スギなどの花粉の少ないスギ苗木の生産は、11年の142万本から20年には1393万本に訳10倍に生産が拡大しており、スギ苗木の年間生産量の約50%となっている。これらの苗木をスギ伐採跡地へ植栽を進めているが、植え替えられたスギ林の累計は全体の1%未満と一段の拡大が必要だ。

 さらに、スギの雄花を選択的に枯死させるなどの飛散防止剤の開発・普及に取り組んでいるが、実用化に向けては効率的で低コストの空中散布技術の確立が必要となることや、森林生態系への影響について評価・検証が必要で、課題が残る。

 結局、現時点での有効な花粉症対策としては医療が中心となっている。花粉症を含むアレルギー性鼻炎の保険診療費は、近年、若干ながら減少しており、17年度には3875億円だったのが、19年度には3619億円となっている。(グラフ2)

岸田政権が突然ぶち上げた「花粉症対策」実現には長い道のりの画像3