「不良もの×タイムリープもの」のコンセプトの秀逸さ
『東京リベンジャーズ』は「不良漫画」「ヤンキーもの」に類する作品であり、そこに「タイムリープもの」を組み合わせたことがエポックメイキングだ。
主人公は現代では27歳のフリーターであり、不良の学生だった時代にタイムリープをする目的は「かつて恋人だった女性の命を救うため」と明確。加えて、過去の出来事がどのように現代に繋がるのか、その因果関係を解き明かすミステリー的な面白さがある。
加えて、ダメ人間だった主人公が勇気を振り絞る姿そのものが感動的であるし、彼は不良グループ同士の暴力的な争いを一歩引いて俯瞰して見ているような立場でもある。不良ではない大多数の読者および観客にとって、とても共感しやすいキャラクターになっているのだ。
そして、不良の学生そのものが、現代ではやや成立しにくい、前時代的な印象になりつつあるとも思う。だが、タイプリープ先を10年前(原作漫画では12年前の2005年)のガラケーが登場する時代に設定することで、主人公に同調しながらノスタルジックに「あの頃」の不良の姿を思い出すような構図もある。
不良そのものになじみのない若い世代にも、それは新鮮に映ったのではないだろうか。もちろん不良たちが振るう暴力は客観的には間違ってはいるが、彼らの関係性や矜持からは、暴力だけではない複雑な価値観や“アツさ”を感じることができるはずだ。
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