それなので「事実と違う」という批判があるのだが、2時間という上映時間に収めて、劇的なクライマックスに向けて盛り上げるためには仕方がない演出でしょう。そもそもファンが100人いれば100人のクイーン物語が存在するはずだから、そのすべてを納得させるのは不可能。

 そしてこの映画にはもうひとつ謎がある。監督のブライアン・シンガーの途中降板騒動だ。

 シンガーは撮影終了する直前に現場に現れなくなり、撮影監督が代行した上、イギリス出身のデクスター・フレッチャーが後任監督になり、その後もポストプロダクションも担当した。

 シンガーが降板した原因はいまだに不明で、一説には主演のラミ・マレックやスタッフらと衝突があったともされるが、真相は闇の中だ。

 シンガー監督はバイセクシュアルを公言しており、『ボヘミアン・ラプソディ』の監督に抜擢されたのも、同じバイセクシュアルだったフレディの内面を描けると判断されたかもしれない。