間取りや増築の自由度で言えば一戸建てに軍配

家族構成の変化などに合わせて間取りの変更や増築をしたくなった場合、一戸建ての方が対応はしやすいと言える。土地が余っていれば増築もしやすいので、二世帯住宅にする場合にも費用をかければ可能だ。

マンションも間取りの変更は許容範囲内で可能だが増築はできない。マンションの場合は既に配管の位置などが決められており、間取りを変更する場合にもさまざまな制約を受ける。そういった点からも間取りや増築の自由度を比べると一戸建てに軍配が上がるだろう。

プライバシーに配慮した内廊下設計のマンションも

プライバシーの面では、マンションの方が懸念点は多い。

一戸建てに比べて隣の住宅との距離が近く、建物の設計によっては声や音などが漏れる懸念も出てくる。購入した部屋の窓から見える範囲にマンションが建っている場合は、カーテンをしっかり閉めるなどしてプライバシーを保護する必要も出てくる。

最近はプライバシー対策として、各階をホテルのように「内廊下」にしているマンションも多い。外廊下のマンションは外から住民がどの部屋に入ったか見えてしまうが、内廊下の場合は見られることはない。

一戸建てはマンションとは異なり、隣人との距離も離れている。目隠しとして塀を作ることもでき、プライバシーがマンションよりも確保されていると言えるだろう。ただ一戸建ての場合はマンションに比べて窓も多く、その分、遠くから覗き込まれるリスクは抱える。

マンションではペットの「サイズ」や「頭数」などにルールも

マンションでペットの飼育したい場合、物件によって飼うことが可能なペットのサイズや頭数などに制限が設けられていることがある。

例えば犬の場合は「中型犬まで」「大型犬不可」「小型犬のみ」など、猫の場合は「3匹まで」などだ。「廊下やエントランスではペットを抱きかかえること」などのルールを定めているマンションもある。ペットを飼うこと自体を制限しているマンションもあるので、事前の確認が必要だ。

一戸建ての場合は基本的にはペットを飼うかどうかは家主の判断で決められる。一方、屋外で犬などを飼う場合などは、首輪が外れて逃げた犬が近隣住民にかみついたり、訪問してきた人に向かって吠えて転倒してけがをさせたりするなどのリスクもある。鳴き声が大きいペットの場合は近隣住民とのトラブルにも結びつきかねないので、一定の配慮は必要であると言える。

子育て世代は「子供の足音」を気にして一戸建てが人気

子育て面を考えると、一戸建てを選ぶ人の方が多い。最大の要因は「子供の足音」で、マンションの場合は下の階の人に音で迷惑をかけることがあるからだ。その点、一戸建ての場合は子供の足音を気にする必要もない。

老後の生活を考えた場合は、マンションの方が住みやすいと言えるだろう。一戸建ての場合と違い、基本的には1階から2階への昇り降りなどをしなくて住むからだ。また、マンションの方がスーパーや公共交通機関とのアクセスが良いケースが多く、高齢になってからも買い物などにも行きやすいと言えるだろう。

一戸建てを購入する場合、注文住宅の場合は当初からバリアフリー化を考慮に入れておくことが重要だ。例えば階段に手すりを付けたり、段差を作らないようにしたり、最初から対応させておくことで結果的にはコスト的は安くなる。

マンションと一戸建てを購入した場合の違いについては、駐車場や清掃、地域活動や組合活動などにおいても差が出てくる。最近はマンションで民泊営業を行う人もおり、マンション管理規約で民泊の可否がどう定められているのかも確認しておきたい。

文・岡本一道(金融・経済ジャーナリスト)/ZUU online

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