今回は、あくまでボリウッドなどのメジャーシーンの女優に焦点を当てて紹介してきたが、2000年~現代にかけて、ファラー・カーンやゾーヤー・アクタル、ショナリ・ボースとに代表される女性たちが、インド映画界で映画監督やクリエイターとして活躍したことで、かつての『007』シリーズにおけるボンドガールのように男性主人公の“添え物”としてではなく、女性が主体となる作品も増えた。だからこそ、女優たちも必要とされる場が多くなっていったわけで、今では女性が主人公の作品が当たり前となっているのも、これまでに多くの女優や女性クリエイターたちが時間をかけてその土壌を築いてきたからである。
また社会派な作品が多い東インドのベンガル語映画・ドラマでも『Crisscross』(18)や『Woman Power』(22)、「Hello! Remember Me?」(22)といったフェミニズム色の強い作品が多く制作されており、ヌストラ・ジャハーン(Nusrat Jahan)やミニ・チャクラボルティー(Mimi Chakraborty)といった、20~30代のローク・サバー下院議員兼女優の活躍も目立ってきている。
まだまだインドの映画業界は男性優位主義であることは間違いないが、それは程度の差はあれど他国も同様である。ハリウッドも結局のところ、まだまだ男性が権力を握っていることが多い。ジェンダーの課題の多い業界ではあるものの、世界中に新たな風が激しく吹いているのも事実で、インドも例に漏れず、映画はもとよりドラマや音楽も含めて、エンタメ全体が新たな進化を遂げようとしているのだ!!