また一方で、家系重視で長年保守的で閉鎖的だったり、ミス・ユニバースやミス〇〇といった称号がなければ立ち入れなかったインドの映画業界も、時代の流れによって徐々に変化しつつある。その象徴的ともいえるのが、YouTubeやSNSをきっかけとしてデビューする俳優や歌手も増えてきたことだ。
例えば、Netflix映画『マスカ ~夢と幸せの味~』(20)に出演し、『Nikamma』(22)で劇場用ボリウッドデビューを果たしたシャーリー・サティア(Shirley Setia)もそのひとりである。
シャーリーは、生まれはインドではあるものの、7歳でニュージーランドに居住。ニュージーランドからボリウッドの曲やダンスカバー動画などをアップしていたYouTuber兼歌手であったが、映画製作会社兼音楽レーベルのT-Seriesが主催したタレント発掘企画で注目されたことをきっかけに、『A Gentlemen』(17)の「Disco Disco」で、プレイバックシンガー(映画内の歌唱シーンを吹き替える歌手)デビューを果たし、のちにボリウッド女優になるという夢を叶えた異例の経歴の持ち主である。
シャーリーのそれはかなりのレアケースに思えるかもしれないが、実はそうでもなくて、ボリウッドだけに限らず、インド映画に出たいとアプローチして、それに見合う才能やカリスマ性があれば、他国からのアプローチでも実現可能な窓口が増えてきているのだ。
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