インド映画女優は新たなフェーズへ、今後のカギは多様性

 そんなアーリヤーも、今ではすっかり中堅だ。

 たとえば、第95回アカデミー賞のプレゼンターを務めたディーピカー・パードゥコーン。ダンスはちょっと苦手でも演技派女優のタープシー・パンヌ。ジェニファー・ハドソンや杏も出演している群像劇『私たちの声』(22)ではインドの女性像を体現したジャクリーン・フェルナンデス(国籍はスリランカ)。ほかにも、クリティ・サノン、パリニーティ・チョープラー、サニヤー・マルホートラなどなど、2010年以降に活躍してきた女優は、これからも出演作が渋滞状態ではあるが、みな中堅女優の位置に立っている。

 『クワンティコ/FBIアカデミーの真実』でインドの女優として初めてアメリカのドラマで主演を務めたプリヤンカー・チョープラーは、アカデミー賞においてインド映画の『RRR』や『エンドロールのつづき』を広めるためにPR活動を行うなどして、アメリカとインドの関係性を急接近させた立役者。プリヤンカーの場合は、もはや中堅を通り越して大御所の風格すら漂っている。

 こうした女優たちが継続的に活躍している一方で、インドでもZ世代の女優たちの躍進が目覚ましくなっている。