◆八木勇征によるベストアンサー
結局のところ、『美しい彼~eternal~』では、「恋人以上、友達未満」のBL的な関係性に明確な答えは与えられない。そのかわり、映画のラスト、エターナルらしき風景描写がある。
結末に触れるので詳述はさけるが、その場面は、清居の「来たなストーカー」からはじまる。ずんずん前を歩く清居に対してカメラを構えた平が頼りなく距離をあけて付き従う。「美しい清居を俺が誰よりも美しく撮る」と平が言えば、清居は「キモ」とだけ言う。
高校時代から何も変わっていない、何気ない会話である。それがなんてことはない川辺の日常的な風景として描かれる。八木の演技は、こうした日常の中にこそ息づくように思う。基本的に清居は、「キモ」などの短いフレーズしか口にしない。八木がオフビートな調子で一定にセリフを吐く。川辺の風景は、そんな八木勇征による日常の夢のように感じた。清居奏の「美」を神がかり的に演じた彼のベストアンサー(演技)こそ、永遠に「輝く星がひとつ」なのだろう。
<文/加賀谷健>
【加賀谷健】
音楽プロダクションで企画プロデュースの傍ら、大学時代から夢中の「イケメンと映画」をテーマにコラムを執筆している。ジャンルを問わない雑食性を活かして「BANGER!!!」他寄稿中。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。Twitter:@1895cu