自民党より議席を減らしたのは

 神澤は、自民党よりも共産党が議席数を軒並み減らしていることに注目しています。前回の総選挙では共産党は立憲民主党と選挙協力しましたが、うまく共存できず、どちらも痛手を負った結果、協力関係を解消しています。その「後遺症」から立憲民主党は復帰できていませんね。その背景には、「立憲」という言葉のイメージと現実の政策のミスマッチがあるからでしょうね。

 立憲とは「憲法を制定すること」という意味です。「現代社会に合う憲法を制定する=改正する」ニュアンスがある一方で、他方で「立憲主義」という言葉がありますよね。これは「憲法に従うこと」「憲法」に則って政治権力が行使されるべきである」という考え方です。この違いを象徴するように、党内も意見は真っ二つに分かれていて、このまとまりのなさが支持率にも表れています。

 立憲の支持率は8%(2023年3月26日現在、以下同)、維新も8%で同じですが、衆参の議席数は立憲135、維新61なのです。

 これでは、野党第一党としての存在感を出すのは難しいですよね。ただ、政治家一人ひとりを見ていくと、圧倒的に立憲の方が維新より優れています。しかし、政党という組織で見てみると、維新のワンイシュー「身を切る改革」は長きにわたりぶれていなくて、とてもわかりやすく浸透しやすいと思います。一方の立憲はLGBTQのほかたくさんイシューを出していて、どれがメインなのかわかりにくいですよね。

 今はわかりやすく、透明性のある政治が求められているのだと思います。わかりやすいといっても、ガーシーこと東谷義和元議員のように、おもしろいだけのわかりやすさでは政治家は務まりませんが、元議員が29万票も獲得していたという現実は、各党が考えなくてはならないのではないでしょうか。