【今週の一冊】
「97歳の悩み相談」(瀬戸内寂聴著、講談社文庫、2022年)
随分前の私は書籍を「大人買い」することが好きだった。当時あった新宿南口の紀伊国屋書店の最上階から地下階に至るまでぐるぐると書棚の間を回りつつ、ひらめいた本はすべてかごの中へ。会計を済ませて重い袋を携えて近くのカフェで一休みしながら眺めるのが幸せなひと時だった。しかし、読まずじまいの本が増えるばかりで断捨離へ。以来、本は図書館で借りるようになった。
けれども、なぜか私の場合図書館で借りた本というのは記憶に残らない。しかも返却期限がありせわしない。線を引いたりページを折ったりすることもできない。やはり買った方が良いかなと逡巡したのである。そのような心境の中、伊勢市宇治山田駅のコンビニで出会ったのが今回ご紹介する一冊。結局その日はお土産や雑誌新聞など含めて4000円以上使った。コンビニでのこの高額利用は人生初である。
瀬戸内寂聴さんは波乱万丈の人生を歩んできた分、本当におおらかで「自分」と言うものをしっかり持っておられる。本書の悩み相談者はいずれも10代の若い人たち。恋愛、自分の性格、人間関係など深く悩んでいることを寂聴先生に尋ねている。先生の回答はどれも愛情に満ちた、それでいてズバッと核心を突いたもので、読んでいると元気が出る。
中でも次の文章が心に響いた:
「とにかく自分を守るためには、強くならなければいけません。悪口を言われるのは、自分に才能があるからだと思えばいい。あなたの才能に対して、才能のない人が嫉妬するんですよ。だから悪口を言う相手のほうが、みじめだと思えばいいんです。」(p53)
若かりし頃、文学界の重鎮から酷評されるも生き延びた先生のお言葉である。
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