「これは申し訳ない」と思い、ケーブルの先を見るとカメラマンアシスタント、略してカメアシと呼ばれるスタッフさんが、僕をどかそうと思いわざとケーブルを僕の足にぶつけていたのだ。しかもかなり迷惑そうな顔をして。初対面のスタッフさんにそこまであからさまな態度をとられたことが無かった僕は、少しパニックになってしまった。

 撮影が終わり、現場についてきてくれていたマネージャーさんにその話をしたところ「ドラマのTBSだからねぇ」と、その行動がまるで日常茶飯事だといわんばかりであった。そのとき僕は初めてTBSドラマ班の異様さに気づいたのだ。

 このように裏方と呼ばれるスタッフさんがタレントに対して何かするというのは基本的には稀だが、芸人がたまに「昔のテレビスタッフは怖かった」というようなスタッフさん同士の厳しい指導を、何度か目にしたことがある。

 それはとあるハウススタジオでバラエティ番組の収録をしていたときのこと。メインMCさんと数組の若手芸人がトーク&大喜利のような企画をしていた。