――自分を愛することができなければ、世界を救うこともできないと。
紀里谷 僕はそう思っています。今の社会は常に「今のままじゃダメ」「もっと有名になりなさい」と言い続けているわけです。それじゃあ、幸せにはなれません。いろんなものを無理して手に入れて、消費して、やがては戦争になっていく。そんな悪循環に世界は陥っていると思います。
――これからの若い世代に向けた作品でもある。
紀里谷 そうです。若い世代に今の世界を委ねることになった際、「こんなクソみたいな世界を救うんですか?」と疑問に感じる若者は多いんじゃないですか。大人たちは自分のことしか考えていない。口だけは「未来のために」とか、きれいごとを言いますよ。でも、いつの時代も大人たちのエゴやつまらないメンツのために、若者たちは戦場へと駆り出されていった。今の日本は戦場ではないものの、残酷性は戦時中や戦国時代と変わらないと思います。「この世界を終わらせますか?」というアンケートを取ったら、「終わらせる」と答える若者は多いはずです。その発露が、時折起きる暴力的な事件じゃないですか。
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