――CGを多用した『CASSHERN』は当時はまだ珍しく、「こんなのは映画ではない」と日本国内では酷評されましたが、海外では評価された。
紀里谷 『CASSHERN』が公開された後、ザック・スナイダー監督が『300<スリー ハンドレッド>』(07)を成功させていますよね。僕がやりたかったことを、ハリウッドはうまくやったなぁと思いました。そのことは今さら言っても仕方ない。『GOEMON』もそうだし、忠臣蔵を世界に伝えるつもりで撮った『ラスト・ナイツ』もそう。日本が誇れる文化を世界にどうすれば伝えられるかを考え続けてきた20年間でした。でも、どこまで行っても、僕がつくる作品にアレルギー反応をいちばん示すのが日本だった。僕は日本のことを想い続けてきたけれど、僕のことを好きになってもらえなかった。もうこれ以上は無理だという結論に達し、これが最後の作品ということでつくったのが『世界の終わりから』なんです。
――本当に『世界の終わりから』が最後の監督作になるんでしょうか?
紀里谷 最後の作品とは言っていますが、実際には米国で企画を準備中のものがひとつあり、これはまだ成立するかどうか分かりません。まぁ、言えば言うほど僕は嫌われてしまうのですが、日本で映画を製作し、ビジネスとして成立させるのは難しいことを痛感しています。映画を劇場公開しても宣伝費を回収するのが精一杯で、配信やDVDになってようやく制作費が回収されるかどうか。僕から見ると、日本の映画界はビジネスとして成立しているとは言い難いですよ。今の日本映画は、漫画原作しかないわけでしょう? 漫画原作が日本の映画界を支えていることは分かるし、それを僕は批判するつもりもありません。でも、本当にそれでいいのかなと思うわけです。
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