「続いての曲は、僕が岡村靖幸という日本で一番ダンディーで、セクシーなおじさんと作った曲なんですけど。僕が知る限り、90年代生まれの中で一番セクシーで、ダンディーな男と一緒に歌いたいと思います」という前フリから高岩をステージに招き入れ始まったのは「愛はおしゃれじない」。スタイルが異なるこそ2人の固有の色気が際立つボーカルを交歓させ、落ちサビの掛け合いでは高岩が小出の頬にキスをするというなんとも微笑ましい濃厚接触も実現した。
以下、Pecori、HUNGER、小出がトークパートで残した言葉だ。
「自分も普段バンドをやっているけど、生音だけではやってないので。今日、それを体感して新しい感覚を得ることができました」(Pecori)
「2014年に渋谷にあったVUENOSで初めて一緒になってから、大きな波が来るという予感があった。そのときはいかんせんお客さんの波がなかったんだけど(笑)。あらためて、めちゃくちゃカッコいいバンドだなと。演奏の迫力もそうだし、音の厚みもそう。PAさんが音の出し方も工夫していて、ライブをやりながら自分もお客さん側にいたいと思いました」(HUNGER)
「バンドを10年やるのって大変ですよね。メンバーが出ていったり、入ったり。いろんな葛藤があると思うけど、20年バンドを続けた先輩として言えるのは、マジで続けたほうがいい。SANABAGUN.みたいに周りにない音楽をやっているバンドは本当に希少だし、孤高の存在になっていいと思う」(小出)
こうして「SNB.SUDPDMMS10YDF」はインターバルを挟んで、2部のSANABAGUN.単独ライブへ。
全身黒の衣装に身を包み直した8人は初っ端から「SNB.JAZZメドレー」(「Fast Swing」、「B-Bop」、「居酒屋JAZZ」、「L.G.M」、「Heisei Evidence、「Stuck IN Traffic」、「Fast Swing」」をプレイ。そこで再確認したのは、今のサナバの音と歌とラップの重厚さであり、結成当初から持ち合わせている時にオーディエンスを圧倒するパフォーマンスのキレ(それは怖さとも言える)だ。
このあとに続いた「KING」や「三種の神器」もそう。あらゆるいけ好かない事象に中指を立てるレベルミュージックでもある楽曲群の説得力を担保する威圧感があってこそ、サナバである。だからこそ、高岩がメロウに歌を浮遊させる「One Call」のような楽曲もじっくり染み入る。
粘度の高いファンクネスで踊らせる「8 manz」から緊張を緩和させる「チョップマン」へなだれ込むと、なんとこの曲の終わりで仮面を被った木村カエラが参上。そのシルエットで正体に気づいたオーディエンスは驚嘆の声を上げた。