◆おディーン様の“武士顔”

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 そもそもディーン自体、ものすごい武士顔である。大木から天狗のように舞い降り、万太郎に向き合う眼光がまぶしい。万太郎のことを「坊主」と言いながらも、ひとりの人間として誠実に向き合おうとする。「まずは飯かのう」と言って一瞬、視線を漂わせるおちゃめな姿もサムライ・ディーンらしい間合いの取り方でいい。

 第3話、思い悩む万太郎のことを見つめる眼差しが温かい。彼を肩に担ぎ上げると、直立不動の仁王像のようで天狗感がグッと増す。清い魂を持つこの男が、この先、幕末の志士(獅子)として、一石を投じて日本の歴史を変えていくことになるのか。ディーンの肩に歴史の重みがズシンときても、この鋼の肉体は、決して崩れないだろう。

 父親の顔を知らない万太郎は、坂本龍馬にまさかの父性的な愛情を感じる。同胞たちが迎えに来たさり際、龍馬は、万太郎の目線の位置までしゃがみ込む。幕末の武士なのか、やっぱり実は天狗なのか、はたまた父親なのか。ひとりの少年を前にしたおディーン様の顔に、“豊かな朝ドラの表情”を見た。次回第6回は明日8日あさ8時より放送される。

<文/加賀谷健>

【加賀谷健】

音楽プロダクションで企画プロデュースの傍ら、大学時代から夢中の「イケメンと映画」をテーマにコラムを執筆している。ジャンルを問わない雑食性を活かして「BANGER!!!」他寄稿中。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。Twitter:@1895cu