そして、この批判を本公演の最後を締めくくるジョークの前フリとして巧妙に使ってみせる。もちろんスミス夫妻へのジョークとして。
ロックの矛先はまず、自分へ直接的な暴力を行なったウィルへと向く。
そもそもこの一件の前、世間を騒がせたスミス夫妻の家庭問題。ジェイダの浮気が全国紙を賑わせる中、夫婦揃ってリアリティショーへ出演すると、ウィルがインタビュアーとなって妻にその真相を尋ねたのだった。そのあまりにセンセーショナルな内容に世間ではウィルへの同情が集まると同時に、彼は「妻に浮気をされながらも家庭の修復に向かう夫」という像を獲得した。まさに「被害者」としてのプロモーションだったとロックは追及する。
そしてジェイダ。2016年のオスカーで、ノミネートされた俳優に黒人がいなかったという理由で「#OscarSoWhite(オスカーは白すぎる)」という抗議運動が勃発。スミス家は夫婦揃って式典をボイコットしたがその夜、司会を務めたのがロックだった。
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