そして、「3回憑依されると命を落とす(かもしれない)」とか「魚住がハヨンの死んだ夫・ウジンと見た目・声まで瓜二つ」とか、何か重要そうに思えた設定が、結局何でもなかったのもガッカリだ。魚住がウジンにそっくりなのも、直木が静電気を起こしたら雷が落ちてくるのも、英介にだけ広田勝の幽霊?が見えるのも、直木が(遺体は火葬済なのに)なぜか元の体で蘇るのも、すべて偶然ですべて奇跡。『100万回生きたねこ』も大してストーリーと関わりなかった。直木の死の理由も、結局理不尽なままだった。

 もっとも、井上真央、佐藤健、松山ケンイチの3人の共演というだけで見ごたえはあり、特に井上真央の怒りの芝居や、作中の大事なムードメーカーとなった魚住をチャーミングに演じた松山ケンイチの存在感は素晴らしかったし、中盤までは次の話が早く観たい!と思わせる魅力に満ちていた。最終回も、1話かけて描くほどのものだったかはさておき、突然失った大切な人との別れを丁寧に描くという意味で、必要だったとは思う。おもしろく観ていただけに、あまりに『ゴースト』すぎる設定・展開など、なぜ?がいくつも浮かぶ物語に留まったのが残念だった作品だ。