なお、本作を楽しんだ方なら、Hulu独占配信のスピンオフも必見。玲緒と藤谷のなれそめ、蒼と奏奈のその後など、どれも『リバオケ』らしさのあるいい話であり、本編の補完という意味でも非常に満足度の高いエピソードばかりだ。
今期は『罠の戦争』も大いに楽しめた。復讐モノであり、展開が予想できるベタさがありつつも、俳優陣の演技や演出で楽しめるエンターテインメント性は『リバオケ』などにも通ずるところがある。今期だけでなく、このところは“話数稼ぎ”に映るような話が挟まれるドラマも少なくないが、全11話展開で過不足なく物語を伝え切ったという点でも安定感のある作品だっただろう。作品の世界観からしても、希望はありつつもビターな結末に終わったのも納得だった。鷲津の特異な記憶力の設定が序盤以外はまったく生かされていないなど気になる点もあるにはあったが、些細な問題といえる。それにしても前期の『エルピス—希望、あるいは災い—』といい、麻生太郎氏はいろいろと元ネタになりやすい政治家なのだろうか。
『警視庁アウトサイダー』は意外とあっさりとした終わり方だったが、架川・蓮見・水木の絡みは絶妙で、(演出のクセや“わかる人にわかる”ネタの方向性など、好みが分かれる部分もあるだろうが)個人的にはコメディとして楽しく観ることができた。ただ、コメディとして呑気に観ていると、物語の背景にある事件の複雑な人間関係に付いていけなくなるという問題にぶつかり、「シリアスとコメディーが絶妙なスピード感でからみあう刑事ドラマ」としてなかなか視聴態度が難しい作品だったように思える。
ちなみに、本記事はGP帯ドラマを扱う趣旨ではあるが、「ドラマ序盤ランキング」で深夜帯の『リエゾン-こどものこころ診療所-』と『三千円の使いかた』に言及していたので触れておくと、どちらも期待どおりの良作だった。特に『リエゾン』は、序盤ランキングでも述べたように原作からの脚色が見事。ひとつひとつのエピソードを丁寧に描くため、観ていて辛い話も少なくなかったが(原作2巻の虐待の話が映像化されていたら、辛すぎて観ていられなかったかもしれない)、今期一番泣かされた作品だった。