──歴史エッセイスト・堀江宏樹が国民的番組・NHK「大河ドラマ」(など)に登場した人や事件をテーマに、ドラマと史実の交差点を探るべく自由勝手に考察していく! 前回はコチラ

※劇中では主人公の名前はまだ「松平元康」ですが、本稿では「徳川家康」に統一しております。家康に限らず、本連載において、ドラマの登場人物の呼び方は、原則として読者にとってなじみの強い名称に統一します

 『どうする家康』、第3回「三河平定戦」はかなりシリアスな内容で、戦国の世の不条理と残酷さを描くことに終始し、家康(松本潤さん)の“やる気スイッチ”も残念ながらOFFのままでした。水野信元(寺島進さん)に敗れた際には討ち取られた人の首が入った桶の中身がちらっと見えたり、家康が今川家を裏切ったことによって駿河に残した家臣たちの家族が殺されたりと、グロ描写も多めの内容でしたが、次回予告映像の「市」ことお市の方(北川景子さん)の姿だけは華やかでした。今回はお市の方を中心に、お話してみましょう。

 『どうする家康』番組公式ページでは「信長・秀吉・家康をつなぐ運命の女」と位置づけされているお市ですが、第4回あらすじの「信長の妹・市を紹介される中、信長から盟約を結ぶ代わりに、驚くべき条件を提示される」という一文が気になってしまいました。しかし、この部分について触れる前に、第3回の放送内容をおさらいしてみましょう。