錦織と同じくジャニーさんが舞台づくりの才能を評価し、自身の後継者に指名したとも報じられていたのは滝沢秀明氏だった。会社のトップの座はジュリー社長が引き継いだものの、滝沢氏は副社長を務めながら自身が演出を手がけた舞台『滝沢歌舞伎』などで“ジャニーイズム”を継承。ジャニーズJr.を統括するジャニーズアイランドの社長として、ジャニーさんの「未来のスターの才能を見抜く役割」も受け継いだ。

 しかし、滝沢氏が副社長に就任してからたびたび「事務所内でジュリー派とタッキー派の派閥争いが起きている」などと報じられ、ジュリー社長との衝突がささやかれた。「噂レベル」のもので真偽は定かでなかったが、滝沢氏は昨年10月いっぱいでジャニーズ事務所を電撃退社。退社の具体的な理由については現在も明言されていないが、先述の錦織の発言を踏まえると、ジャニーさん他界後の「ジュリー体制」と合わなかったのでは……とも推察される。

 滝沢氏はジャニーズ愛が非常に強かったが、あくまで彼が恩義を感じているのは自身を育ててくれたジャニーさんであって、ジュリー社長との信頼関係はまだ十分でなかった可能性がある。あくまで想像の範疇だが、ジャニーさんのスタイルを受け継ごうとした滝沢氏と、新体制を敷いたジュリー社長の間に軋轢が生まれたという見方もできそうだ。

 King & Princeはジャニーさんが生涯最後にデビューさせたグループで、メンバーたちはジャニーさんの夢でもあった「海外進出」に強い思いを持っていた。特にメンバーの平野紫耀は、ジャニーさんが外国の振付師たちに「この子はスターだよ」と紹介するほどかわいがられていたという経緯があり、ジャニーさん他界後はその遺志を継いで海外を視野に入れた活動をしたいという考えを強めていたともいわれる。