「生きる楽しさ。」
「愛する歓び。」

である。ソフィーは自己肯定感の低いヒロインで、長女だからという理由で流行りもしない帽子屋で働いている。明るく気立ての良い妹に比べれば、自分は地味で魅力がないと思っている(でもよく見ると美人なんだけど)。そんなソフィーは呪いで老いたことではじめて、外の世界に出かける。しかもイケメンと恋までする。老いたことは終わりではない、まだまだ、人生はこれからだ!

 これまで「若いって素晴らしい」という視点で作品を作ってきた宮崎監督、この時62歳。老いの境地になってついに「老いって素晴らしい」に至ったのである。それをそのまま書くと説教臭くなるので、曖昧なファンタジーにすることで説教臭さを無くしたというわけですよ。

 そんな巨匠の最新作は『君たちはどう生きるか』って……ちょっと! なんか説教臭くなってる気がするんだけど大丈夫?