さらにもうひとつ、裏番組として放送されていた「サンデージャポン」(TBS系)と視聴率を比較され「負けている」とニュースにされ続けていたことも心が疲弊した理由だったそうだ。視聴率というのは、大きなくくりで視聴率を発表しているわけではなく、年代別や性別、地域などに分けて視聴率を発表しており、全体的に見ると「ワイドナショー」の方が視聴率が低いかもしれないが、「コア視聴率」と言われている13歳から49歳の購買意欲の高い層の視聴率は「ワイドナショー」の方がダブルスコアで勝っており、松本さんのように時代を見据えて、流行り廃りを意識してきた人間にとっては、一番重要な「コア視聴率」で勝っているにも関わらず、「負けている」と報道されることが悔しくてたまらなかったのだろう。

 そもそもこの「ワイドナショー」という番組は「普段スクープされる側の芸能人が、個人の見解を話しに集まるワイドショー番組」というコンセプトを持っており、さらに番組の公式サイトには「さまざまなテーマで徹底討論。普段、コメンテーターとして出演することのない有名人たちが、持論を展開していく」などと記載されており、スクープされる側の人間がスクープされない立場から自由に見解を述べる番組だったのが、番組自体が報じられることにより、コンセプト自体が覆されてしまったのだ。

 この番組の醍醐味は上記のように普段はコメンテーターとして出演しない有名人の意見や持論を聞けるという点であり、その意見や持論に対して意見を述べるのはナンセンスな話なのだ。

 外野からの誹謗中傷、心ないコメントを出演している有名人たちが気にすると、番組のコンセプトである個人の見解を話しづらくなってしまう。そうなると有名人たちは自身の心や立場を守る為に、出来る限り世間に叩かれないように心がける。すると個人的な見解は影を潜め、世の中と同じ意見を言ったり、平和的な見解しか述べなくなるのだ。そんな番組、誰が見たいというのだ。