◆「この国の人間は気分でしか政治を考えない」

 まず、『罠の戦争』だ。渾身のスキャンダルで鶴巻を追い込もうと目論む鷲津(草彅剛)だったが、もう少しのところでかわされてしまう。一応は鶴巻を引退させることに成功するも、それは“名誉の辞任”という印象を与えるもので、最大の敵役を潰すことには失敗する。さらには、当初は鶴巻潰しを支持し、鷲津を応援していた竜崎総理(高橋克典)からも裏切られる始末。

 そんな中、失意のどん底にある鷲津に対して、鶴巻は「私ほど政治を守ってきた人間はいないよ」と口にした後、「この国の人間は気分でしか政治を考えない。不満が溜まりすぎてガス抜きが必要になったら総理を代えてやる。それで意見が通ったと満足するわけだ、あの連中は」と続けた。

 政権を守ることが政治を守る、ひいては国民を守ることと言わんばかりの傲慢さを感じる。とはいえ、首相が交代した途端に支持率が回復するケースは珍しくない。“気分でしか政治を考えない国民”とは言い得て妙であり、風刺の効いたセリフと言える。