公聴会で2人の司令官は、こうした中国の「攻撃的なまでの」拡大路線に危機感を表明した。普段は優しい笑顔が魅力的な女性軍人のリチャードソン司令官は「中国は国際規範を脇に置いて独裁政治のブランドを前面に打ち出し、民主主義を食い物にしながら、その権力と影響力を蓄積する能力と意図を持っている」と厳しい言葉を並べた。

 リチャードソン司令官はさらに、中国のこの地域での活動は米国を追いやるための「容赦ない行軍」だと表現し、アルゼンチンに建設された中国の宇宙探査施設を引き合いに出して「こうしたリスクは受け入れられないし、無視することもできない」と強調した。

 また、バンヘルク司令官は中国企業のメキシコへの進出が加速していることを問題視し、特に、電気通信事業の80%を中国企業が担っていることに警戒感を示した。

 さらに、バハマで中国が世界最大級の大使館を建設していると示唆し、中国の脅威を強調した。バハマはフロリダから約80キロの位置にある小国だ。キューバよりも米国に近く、米国人観光客がこぞって訪れる一大マリンリゾートとして知られる。ここに中国が世界最大級の大使館を設置するとなると、その近さからして、目的は「米国の監視」ということになる。