映画の主人公となるのは、地方検察庁に勤める大友秀美(長澤まさみ)。ある民家で老人と訪問介護センターの所長の死体が同時に発見されるという不可解な事件を、検事の大友は担当することに。事務官の椎名(鈴鹿央士)が調べると、その介護センターでは高齢者の死亡率が異様に高いことが判明する。

 容疑者として、訪問介護士の斯波(松山ケンイチ)が浮かび上がる。斯波は勤勉な介護士として、訪問先の高齢者やその家族たちから慕われていた。取り調べを始めると、斯波はあっさりと犯行を認め、しかも42人もの高齢者を殺害したという。

 家族の絆を一方的に断ち切ったことを責める大友に対し、斯波は冷静に反論する。認知症などの重い障害に苦しむ要介護の高齢者と、介護に追われてボロボロになったその家族を救うためのロストケア(喪失の介護)だったと斯波は主張する。

 大友の捜査が進むにつれ、「人にしてもらいたいと思うことは何でも、あなたがたも人にしなさい」という聖書の黄金律を斯波は愛読していたことが分かる。さらに彼が体験した壮絶な介護実情も明らかになっていく。献身的だった斯波は、なぜ連続殺人に及ぶようになったのだろうか。