高齢者たちを狙った連続殺人鬼と、法の番人である検事が、真正面から火花を散らして激突する。映画『ロストケア』は社会派ミステリーとして、とても見応えがある作品だ。殺人の容疑を掛けられる介護士に松山ケンイチ、自然死に見せかけた連続殺人に気づく検事に長澤まさみ。実力派俳優同士がガチで演技バトルを繰り広げる、スリリングなサスペンスとなっている。

 作家・葉真中顕(はまなか・あき)が2013年に刊行したデビュー作『ロスト・ケア』(光文社)が原作。介護問題や格差社会といったシリアスな題材を描きながらも、抜群のリーダビリティーで、最後まで読む手が止まらなくなる推理小説だ。第16回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞している。