阪元:脚本って自分が思っていることだけ書くとつまらないから、思ってもいないことも僕はよく書きます。「1」で二人が喧嘩してまひろが謝る大事なシーンも「なんで謝っているんだろ」みたいな距離感で撮っていました。伊澤さんに「泣かないでください」とだけ言って。
庄村:「1」だとまひろがちさとに謝りますが、「2」では立場が逆ですね。
阪元:基本的に『ベビわる』は「ちゃんと『ごめんなさい』が言える大人になりましょう」というのがテーマなので。その意味でも「2」はダークでシリアスなテーマより「挨拶しよう」とか、もっと手前の話のほうがいいのかなと。
――金、金、金な世の中をぼやきつつ、ゆるくてなんか楽しい日常を描く点が『ベビわる』の魅力かもしれませんね。監督も好きな初代『ダイ・ハード』の“ジョン・マクレーンVS金”的な要素も感じなくもないですが、反体制的な色合いは控えめというか。
阪元:今回は悪人ゼロのアクション映画を目指したのもひとつ挑戦で、敵もそういう怒りで動くキャラにならなかったですね。序盤にしょぼくれた男3人(敵役のゆうりとまこと兄弟と、2人に仕事を斡旋している赤木)の食堂シーンとかもあって。確かに体制VS反体制みたいな対比もあり得たんですけど、背負うものが大きすぎるとラストバトルがツラいかなと。殺し屋として“目の前の貴様を葬る”って気持ちだけで戦わせたかったし、最後は『スラムダンク』みたいな部活ノリを目指しました。
庄村:プロとアマの対比も感じられるラストバトルでした。あと、前作で強烈な印象を残した死体処理班の田坂もしっかりメインキャラになっていて、めちゃめちゃ良かったです。
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