――前作との比較だとアクションはどう組み立てていきましたか? 例えばまひろ役が本格的な演技初挑戦となった、スタントパフォーマーの伊澤彩織さんは、『ジョン・ウィック:チャプター4』にも参加されたとか……。

阪元:「1」は究極のリアリティ路線で女性が大の男たちに勝つアクションを突き詰めたんですが、どちらかというと今回はアクションスターのアクション、「伊澤彩織のアクションをスクリーンで再び」みたいな感覚ですね。伊澤さんは「バスター・キートンやジャッキー・チェンみたいな、モノを使った気持ちいいリズムのアクションをやりたい」と、ずっと言っていて。

庄村:まさに銀行でのアクションシーンですね。

阪元:近年はリアル路線のアクション作品が主流ですが、個人的にもプロフェッショナル化が進んで玄人にしか楽しめない格闘技みたいなアクションばかりになるのはイヤで。もう少し誰が見ても気軽に楽しめるアクションが増えたらなと思っています。まあ、モノを使ったアクションが一番難しいらしいんですけどね。

庄村:コロナ禍のご自身をまひろというキャラに投影させたというお話でしたが、ちさとのキャラはどうできあがっていったんでしょうか?

阪元:なかなか非現実的で、演じるのが難しいキャラなんですよね。僕は殺し屋って死線をくぐり抜けすぎて根っこの部分が冷め切った冷血な存在と考えているんですが、「1」では彼女のそうした一面をそこまで伝えきれなかった気がしていて。「2」で髙石さんは「悪い人に見えないか心配」と言って悩んでいましたけど。まあ殺し屋なので。「少年漫画の主人公みたくならないように」とは言っていました。

庄村:一見、感情がわかりやすくてコミュ力も高そうだけどその実、腹の底が一切さらえないキャラです。『ベビわる』観ていて、ちさと役の髙石さんの表情筋、どうなっているのかと。