悠依は拓海(青木柚)の現在の所在を聞く。拓海は自分の病気がもとで母親がおかしくなり、移植手術や家庭環境の悪化で直木に辛い思いをさせた負い目があった。結局、直木が家を出てからしばらくして、拓海も両親と疎遠になってしまっており、両親は直木が死んだことを知らせるのをためらっていた。直木がまだ生きていると思っている拓海のもとを、今度は直木が訪ねる。「兄ちゃんにはずっと会いたかったんだよ。でもやっぱ合わせる顔もないしさ。よかったわ」と礼を言い、社会人になって仕事の愚痴を言っている拓海の成長ぶりに、直木はしみじみと浸る。直木が変わらず生きていると信じている拓海の態度は当然“普通”で明るかったが、別れ際、真剣な表情をして「ありがとう。俺を生かしてくれて。会ったら絶対言わなきゃって思ってた。ありがとう。ごめん、ずっと」と伝える。直木は「いい。頑張れよ」と最後のエールを送る。何も知らない拓海は「じゃあ、また」と言って、仕事に戻っていった。
直木と悠依はしばし別れ、それぞれお世話になった人たちとの再会をし、夜は魚住も合流して3人で過ごす。直木は和気あいあいとはしゃぐ悠依と魚住の2人を見て「魚住さんだったら」と言い出すが、悠依は「そういうのあんまり好きじゃない、勝手に託されるとか」と一蹴。その後も楽しい時間を過ごし、魚住は帰ろうとするが、悠依は直木と魚住のふたりきりの時間を用意する。屋上で魚住と向き合った直木は、「さっきのあれ、嘘だから。『悠依を頼む』みたいな」と言って、本当は誰にも悠依を渡したくないと本音を打ち明けつつ、「あとは悠依の人生だし。悠依が決めればいい」と言う。そして悠依が好きな魚住にも「あなたの人生だ。好きにしろよ」と語る。そして直木は「あの時、魚住さんに会えてよかった。あなたに救われた」と感謝を伝える。直木にとっては、魚住と過ごした時間もかけがえのないものだった。
悠依は、直木との最後の時を、思い出の砂浜で過ごすことを選ぶ。直木は悠依と大人になって再会でき、特別な関係になれたことを振り返り、「あ~、俺は悠依とこうなるために生きてたんだなぁって。この先の未来、悠依がずっと笑っててくれたなら、俺の人生、全部、意味あった」と噛み締める。そして直木は「ひとりにさせてごめん」と謝り、朝焼けに包まれながら「悠依……。悠依。ありがとう。さよなら。愛してる。愛してる……」と思いを繰り返し伝える。「悠依の笑った顔が好き。だから笑っててよ」と言われた悠依は、なんとか笑顔を保ちながら、直木が「愛してる」と何度も言うのを聞く。しかしその声がついに途切れてしまった。今度こそ本当に消えた。思わず泣きそうになる悠依だが、空から聞こえた下手な口笛に、笑顔を取り戻す。2人で来た道を、悠依は1人で帰っていった。