――なるほど。
馬渡:『幽遊白書』の曲はクライアントの意向と自分のやりたいことのバランスが難しかったですが、特に「デイドリーム ジェネレーション」は手強かったですね。サビの最初のフレーズは出来上がっていたけど、<風が吹いて/雨が降って/心は揺れても>のメロディと進行が自分としてはお決まりすぎて気に入らない、でも制作チームは「それそれ!」と。
最終的に渋々で決定したのですが、結果、それが多くの方の心に届いたんです。妥協ではないのですが、聴いてくださる方の期待に応える気持ちは大切にしなきゃいけない、ということはその場で学びました。
「微笑みの爆弾」と「デイドリーム ジェネレーション」は、どちらも歌詞が元気な半面、切ないコード進行であることもポイント。ひとりぼっちの人が寂しさを感じる時に元気になってもらう、というリーシャウロンの言葉と私の音楽がバッチリ絡み合ったチームとしての集大成だったかなと。
ーー『幽遊白書』は最高視聴率24.7%(64話・1994年2月12日放送)を記録しますが、ご自身への影響はありましたか。
馬渡:放送中は特になかったと記憶しています。ただ、いきなり印税が約700万円ほど入ってきたことが驚きでしたね。あれは、20代の精神衛生にとってよくない。私の場合は「どうしたらいいんだろう?」と、とりあえず街を徘徊しながら家具などを物色していた気がします。結局ビンテージの楽器を買いまくり、中毒めいた感じになってしまいました。
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