多額の印税、神経症での入院、声の喪失と復帰

『微笑みの爆弾』、それからのこと。歌手・馬渡松子が初めて語る『幽遊白書』の前と後の画像4

――アニメ『幽遊白書』の楽曲について、もう少し詳しく教えてください。

馬渡:「微笑みの爆弾」と「デイドリーム ジェネレーション」はタイアップ曲で、「さよならbyebye」と「ホームワークは終わらない」はアルバム曲からクライアントが選曲したものなんです。「微笑みの爆弾」は原作漫画を1巻だけ読んで作り、「デイドリーム ジェネレーション」は「『微笑みの爆弾』みたいな曲を」という要望でした。

 それまで、私にとってアニメのイメージは『カルピス劇場』と『一休さん』くらいでしたから「微笑みの爆弾」を制作するときは、子どもたちにどう聴いてもらうのか悩みながら、クライアントに提出する直前までリーシャウロンと徹夜しました。『一休さん』のような寂しげな想いをサビの和声と旋律に託し、でも元気に生きているという気持ちを込めています。

 音楽的にいうと、Aメロはシンプルに作曲と打ち込みを楽しみ、Bメロはつなぎとしてなめらかにサビへの導入することを意識しました。最後の<ア・リ・ガ・ト・ウ・ゴ・ザ・イ・ます!>と、<するんだろうね>の「ね」は、アニソンタイアップとして自分を殺したつもりです。詞もメロディも一緒に、またアレンジ打ち込みも同時にできた唯一の曲ですね。

「さよならbyebye」の時は、フレンチポップが好きで、ヨーロッパ調の淡々とした曲が作りたかったんです。制作は私にしてはめずらしい直球8ビートの打ち込みからで、それにメロディを乗せました。まるで絵に文字を書くような感触で。あとからリーシャウロンが詞を付けてくれましたが、正直<byebye>の言葉が当初、自分の感性に合ってない気もしていて(笑)。でも、レコーディングでセリフのような解釈で歌ったらハマりました。