◆誰もが無条件にバラ色の人生に

 キザなナルシストで山崎育三郎劇場の支配人でもある山崎は、自分を美しく見せることに妥協がない。カメラに対してどんな位置に立ち、どんな動作をして、どのあたりに視線をやればいいのか、すみずみまで徹底的に計算され尽くした演技は、やっぱりプロの妙技だ。

 さらにすごいのは、プロの技がこれ見よがしで若干押し付けがましいものだとしても、これがすべて愛すべきものとして視聴者にはキャッチさせてしまうこと。山崎の演技を見ていると、見ている側はちょっと気恥ずかしいながら何だか幸せな気持ちになってくる。まるで人生がバラ色であるかのように。

 そういえば、育三郎さん、布施明の代表曲「君は薔薇より美しい」をカバーしていたっけ。ミュージカルが本業だから音大仕込みの歌唱もまた超一品。この必聴カバーの曲名からも明らかなように、山崎育三郎の前では誰もが無条件にバラ色の人生になる。