◆山崎育三郎劇場の流儀
今回の主演最新作ドラマ『リエゾン』を見ても期待を裏切らない。森の中でひっそりと児童精神科の「さやま・こどもクリニック」を開いている佐山卓(山崎育三郎)の朝の目覚めは、まずチェロの演奏からはじまる。そうかと思えば得意のパキッとした動きですっくと椅子から立ち上がる。
このあたりが、ドラマ冒頭からすでに山崎育三郎劇場のはじまりはじまりという感じ。この人、たまには普通に出来ないものかと思っても諦めてこのコミカルな演技を楽しむより他ない。
パキッと俊敏に動いたあとは、ドアを開け放って外の空気をたっぷり吸い込む。次に砂時計をひっくり返して、歯を磨く。朝の準備に砂時計とくるのが、山崎育三郎劇場の世界観を象徴する流儀なのである。