富裕層は中間層、貧困層に対して差別するだけではなく、中間層も貧困層を差別する。さらにそれだけではなく、貧困層も同じ貧困層の中で、より下を見つけ出して差別するという、もともと人間に備わったと言うべきなのか、差別意識はどんな極端な環境においても形を変えるだけでなくならない。
たかがゲームでそうなのだから、実際はもっと悲惨だ……。
今作の中でもトイレ清掃員のアビゲイルが無人島で権力を持ったとき、ひたすら嫌なヤツとして描かれている。今まで大変な経験をしてきただろうというバックボーンが見えるが、同じような経験は他人にさせたくないという意識よりも、他者にも味わわせたいという意識に変換されてしまうのが大半だという皮肉にもなっているのだ。
そして、富裕層たちが酷い目に合うのを見て楽しむこと自体も逆に差別だとしたら、いよいよどう観ていいのかわからなくなる。どちらの立場からも人間の嫌な部分が炙り出されるような構造となっているのだから、人間不信になる作品なのは間違いない。
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