環境や立場が逆転したら人間は嫌なヤツになってしまうのか?

 世界の経済を動かしているのは、わずか数%の富裕層や権力者たちであり、ほとんどの人間はそのマネーゲームの中で踊らされているだけに過ぎない。信じたくはないが、それが現実だ。

 同じようなテーマの作品としては、去年公開された『ザ・メニュー』もあるが、富裕層やインフルエンサーという存在にイラ立っている映画人は結構いるものだと実感するし、最近やたら増えてきている気がする。

 そういった社会システムの見たくない部分を見ないようにして、微かな希望の中で私たちは生きているのだが、新型コロナによって、普段は見えない、見ないようにしていたものが明確に見えるようになってしまったのも理由のひとつではないだろうか。

 例えば経済学者トマ・ピケティの著書を元にドキュメンタリー映画化された『21世紀の資本』(2019)の中で、人は権力を持つほど性格が悪くなっていくという実験をボードゲームの「モノポリー」を通して行っていた。結果は見事なまでにその通り。