――ゼミではゲストとしてプロのアーティストも招いてらっしゃいますね。

 個人的につながってる人に来てもらってて。メーザー・ハウスにいたときからたまにやってたんですけど、なんでか独立してから、それが活性化して。コロナの時期だったんで、生徒はほとんどライブができるチャンスがなかったんですよ。人前でやることができないから、全然客のいないなかで発表するんですけど、そこにプロでやってる人が1人来るだけでほとばしる緊張感がすごくて。だからライブやってるのと同じぐらいの熱量で定期的に彼らは発表ができたんです。自分と自分の周りのアーティストたちも、自分たちができることをすごく惜しみなくやってくれて、ほんと次の世代の子たちをみんなで育ててる感覚なんですね。

 クラポ(claquepot)もムカタイ(向井太一)も同じように、自分たちの音楽を大事にしながら、次の世代の人たちにもできることをやっていくっていう貢献をすごい自然にやってて。彼らにも審査員で来てもらったんです。生徒に、誰かのアーティストのオープニングアクトで一発かますとしたら?っていうテーマで何カ月か曲を準備させたんですよ、大阪も東京も同じタイミングで。それで発表の日にサプライズで2人が登場して、ここで「今日優勝した人はビルボードライブのオープニングアクトに出ます」みたいな、そういうことをやったんですよ。だから東京も大阪もすごい危機迫る空気感になりました。だから今回、3人の公演〈Billboard PARK〉も決まったんですけど、そのオープニングアクトは、ルンヒャンゼミと大阪音大の子たちがそれぞれ震えながら立つ状態です(笑)。

――その〈Billboard PARK〉は、昨年EP『PARK』を一緒に発表したclaquepot、向井太一との3人での合同ライブですが、3人はいわゆる「ユニット」ではなく、ソロの集まりという考えなんですよね。

 そうなんですよ。ユニットではありません。DRAMATIC SOULのときにすごいユニットって言われてて、当時「別にユニットでもいいじゃん」って思ってたんですけど、竹本健一だけがユニットじゃありませんってずっと言ってたんです。すごいそれを頑なに言ってて、「別に広がったら何でもよくない?」って思ってたんですけど、今すごいわかるんですよその気持ちが。PARKは3人とも「ユニットじゃありません、ソロです!」っていう感じだし、去年1回ビルボードでやって、自分にはないものをそれぞれに見いだして。やっぱり負けたくないっていうのもあるし、リスペクトもあるし、私も私で〈Billboard PARK〉をやることでソロをもっと頑張らなきゃって思って。RUNG HYANGとしての活動をもっと広げていきたいってすごい思わされたんです。それを経て、今年〈Billboard PARK〉をまたやれるんで、みんな負けたくねぇって思ってると思うんですけど、多分ムカタイが一番思ってますね。あの人、殴り合いってよく言うんです(笑)。でもなんかいいですね、別にすごくしょっちゅう一緒にいるわけじゃないんですけど。なんかそういう存在って尊いなって。