◆三浦透子が、冨永愛のハマり役・吉宗にさらなる深みを

 物語としてのすばらしさとともに、冨永と三浦のガチンコ芝居も胸に来る迫力があった。ここで冨永の目に浮かんでいた涙は、本物だった。役柄上は見事に三浦を包み込んだ冨永だが、俳優としては子役出身でキャリア20年超えの三浦が先輩。その実力はすでに認められるところであり、本シーンでの家重の苦しみ、痛み、葛藤の告白には画面を通しても重みがあった。真正面から受けた冨永は、どれほどの空気を感じたことか。もはや冨永以外には考えようのないハマり役となった吉宗だが、三浦演じた家重が、さらなる化学反応をもたらし、その深み、熱が、こちらにもはっきりと伝わった瞬間だった。

 いよいよ今夜、第1シーズンが終わりを迎える。村瀬(石橋蓮司)の死と同時に、行方の分からなくなっていた没日録が見つかり、吉宗の手元にわたる。そこには何が書かれているのか。第2シーズンの制作が発表されていることで、幾分か気持ちは楽だが、それでも終わってしまうのかと、今から楽しみであり、寂しくもある最終回。心して目に焼き付けたい。

<文/望月ふみ>

【望月ふみ】

70年代生まれのライター。ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画系を軸にエンタメネタを執筆。現在はインタビューを中心に活動中。@mochi_fumi