◆場を完全に支配してみせた貫地谷しほりの静かなる迫力
7年後、家重(三浦透子)、次女の宗武(松風理咲)、三女・小夜姫(竹野谷咲)と、娘を3人もうけた吉宗には、後継ぎ問題がささやかれるようになっていた。次期将軍には、老中・松平乗邑(黒沢あすか)を筆頭に、見た目もよく聡明で、周囲への気遣いも申し分ない宗武を推す声が上がる。ここで、家重の話に移る前に、圧巻だった貫地谷による久通の一連のシーンに、やはり触れないわけにはいかない。
宗武を推す乗邑に、「宗武様が(将軍に)なりたがっておいでだからですか、宗武様がそうおっしゃられたのですか、貴殿にそう頼まれたのですか」と吉宗もびっくりの早口でまくしたて、「本来、嫡子でないものを家臣が担ぎ出し、跡目を云々することを、俗に、謀反と申しますが、この一連、左様なものと捉えてよろしいか」と静かなる迫力で抑えた姿は、その場を完全に支配しており、スゴイとしか言いようがなかった。
さらに久通は、「上様こそ上に立つべき人」と確信した幼き日の思い出を語る。“将軍の器”とは、他の者を思う心のあるなしであると。ちなみに吉宗も嫡子ではない。姉たちが亡くなったことで将軍職が回ってきたのだが、これについては最終話で触れられるはずだ。