鶴巻が手強いことを理解していた鷲津は、帳簿がフェイクだったことに動揺を見せず、写真を取り出す。鶴巻の体調不良がうかがえる写真を週刊誌記者の熊谷由貴(宮澤エマ)に撮らせていたのだ。だが、それでも鶴巻のほうが一枚上手だった。鶴巻の指示で、鷲津は選挙中に地元市議会のドンである馬場(諏訪太朗)に賄賂を渡しており、鷲津にとって、鶴巻に握られている議員としての最大の弱点がこれだった。そのため鷲津は馬場に口止め工作を行っていたが、鶴巻は、馬場が未成年女性と不倫しているというスキャンダルを掴んでいた。鶴巻に“借り”ができた馬場は、警察に出頭するよう鶴巻に命じられる。これで鷲津は選挙違反で逮捕される。今度こそ絶対絶命か――。しかし、ここで鶴巻ですら予想もできなかった、思わぬ“援軍”が現れる。厚生労働大臣の鴨井ゆう子(片平なぎさ)だ。
鴨井は、第7話では息子の文哉(味方良介)が転落事件の犯人だったことが暴かれるも、初の女性総理にのし上がるために、息子を切り捨てることを決断。鶴巻派として鷲津と対立していくかと思われた。しかし、鷲津の妻・可南子(井川遥)によって、ずっと向き合ってこなかった文哉の本音を知る。文哉は本当は警察に出頭したかったが、女性議員として男社会の永田町で奮闘する母を守りたかったために、決断できなかったのだ。息子に憎まれていると思っていた鴨井は、総理の夢を叶えてほしいと応援していたという文哉の言葉を聞き、泣き崩れる。
そして、鴨井は己の生き方について問い直したのだろう。緊急記者会見を開き、息子の文哉が転落事件の犯人として出頭することを明かした上で、自身が議員辞職をすることを宣言。警察への圧力について記者から質問されると、鴨井は「近しい方に相談しました。その方から誰かに頼んでいただいた可能性は否定できません」と、名前こそ出さなかったものの鶴巻の関与を匂わせる発言をする。鴨井は第7話で、鷲津家への贖罪の念を語ったものの、鷲津に「あなたが守りたいのは総理を目指す自分だけ。自分が一番かわいい」と突き放され、開き直る様子を見せていたが、やはり心の奥底で罪悪感を抱いていたのだろう。この記者会見は、これ以上ない「贖罪」の場だった。