――那美のモデルでもある、エアハースの木村利惠社長へも取材を重ねられたと思いますが、その中で印象的だったことは何でしょうか?
「ご遺体の損傷がとてもひどいこともあるそうです。特に海外で亡くなる場合は、突発的な事故や事件のことが多い。そういった損傷が激しいご遺体とも向き合わなくてはならないので、体力的な大変さだけではなく精神的な負荷も大きく、過酷な現場だと感じました。ですが、その一方で、エアハースの皆さんは、ものすごく個性的でキャラクターが立っているのです。米倉さん演じる那美のキャラクターは決して過剰な演出ではなく、木村社長もユニークで姉御タイプ(笑)。と同時に、まるで生きているかのようにご遺体にも話し掛けられる考え方に感銘を受け、“国際霊柩送還士”に対するイメージとのギャップも大きかったですね。死を扱うテーマなので安易にコミカルには描けませんが、エアハースの皆さんにお会いしたことで、『幅の広いドラマとして作れるのではないか』と、可能性が広がりました」