マルチバース下の自分の能力にアクセスする為には”バース・ジャンプ”なるものをしなければならないのだが、バースジャンプする為には”普段では絶対やらないであろう意味不明な行動”を起こさねばならず、それはオカシければオカシイ程より強い能力を借り受ける事が出来るとの事で、例えば”紙で指を切る×4(これめちゃくちゃ痛そうだったシーン)”だったり”ファンタオレンジ2ℓ(的なモノ)一気飲み”だったり”ハエを鼻から吸う”だったり極め付けは”アナルに異物をジャンピング挿入(映画史上最も好きなシーンのひとつに加えたいと思います。めちゃくちゃ笑った)”だったりで、これまた意味わかんないと思うけど活字化するとこうなりますしだから観ないと伝わんない気の触れた行為ばかり。酒或いはクスリ或いはその両方をやりながらじゃないと絶対この脚本は書けないと思いました。

 ピクサー映画『レミーのおいしいレストラン』の原題は「Ratatouille」でそれはラタトゥイユの事であり、綴りにRatが含まれるからレミーはネズミのキャラクターとなっているのだが、『エブエブ』の主人公・エヴリンは映画タイトルをラタトゥイユではなくラカクーニと感違いしており、ラカクーニは綴り上アライグマ(Raccoon)が含まれるのでエヴリンの中ではレミーのおいしいレストランはネズミではなくアライグマの話であり、その勘違いを家族に爆笑されるシーンがあるのだが、別のバースにおけるエヴリンはアメリカの和風鉄板焼きレストランとして有名なBenihana(シェフが目の前で調理しながらコテでジャグリングしたり割った卵の殻を放り投げコック帽で受け止めるなどの大道芸的パフォーマンスをしてくれる)のシェフとして働いており、その同僚がマジでコック帽の中にアライグマを住まわせており、そいつがブレーンとして調理を進めているというラカクーニのマルチバースもきちんと実在しているというめちゃくちゃっ振り。加えて人類の指がソーセージになっているというバースすら存在するっつうのだから、やっぱ絶対酒或いはク(ry

 ラスボスのジョブ・トゥパキのいちいち変わるコスチュームやメイクも非常にサイケデリックな物ばかりでそういった”観るドラッグ”的な作品としてもサイコーつうかジョジョもチェンソーマン(こっちは結構直接的)も”読むドラッグ”的なマンガですしね。そういやラストの戦い方とかはジョジョ4部のパールジャムの能力そっくりだったなあ(あとモータルコンバットのフレンドシップ)。

 物語はそんな超バカ描写とスローモーションと正面顔アップの偏執的な多用を繰り返し繰り返し進んでいくのだが、1つの家族(その周りも含む)の離合集散についてという主題はぶらさず、ラストもそうなって欲しいという形にしっかりと収めてくれる。