宣伝カーを自ら作る“奇策”も投じた弁護士芸人

こたけ正義感
『第43回ABCお笑いグランプリ』(2022年)準優勝や「2022年ワタナベお笑いNo.1決定戦」準優勝など、さまざまな大会で結果を出していて実力が申し分ないことはもちろん知っていたし、自身が現役の弁護士であることを生かした“法律ネタ”の完成度はすさまじく、勝ち上がる実力は十分あった。ただ今年の敗者復活戦は、決勝経験者である森本サイダーさんや、知名度抜群の蛙亭・イワクラさん、『M-1』準決勝進出で勢いに乗るケビンス・山口コンボイさんなど、そうそうたるメンツの中で勝ち上がるのは至難の業に思えた。それをこたけさんは「奇策」を使いつつ勝ち上がってみせた。

 なんとこたけさんは「視聴者投票を呼びかける宣伝カー」を作り、東京の街を走らせたのだ。これがなかなかバズり、ネットニュースになったり、各芸人さんがツイートで紹介するなどの盛り上がりを見せた。

 そもそも『R-1』の敗者復活戦自体が、地上波放送のある『M-1』に比べ、TVerでの配信を見て投票しなければならないシステムだったため、かなりコアなお笑いファンしか投票に参加していないように思えた。また、1人何票でも投票OKというルールも追い風となり、本来こたけさんに票を投じるつもりのなかったお笑いファンが「あんなに宣伝頑張っていたからこたけさんにも投票しとこうかな」というような心理になったのではと想像する。

 法律を最大限解釈して立ち回る弁護士のように(というか弁護士なんだけど)、『R-1』のルールや特性を最大限理解した上での「作戦勝ち」だったのかもしれない。あっぱれ逆転裁判、こたけさんの復活に異議なし。もちろんネタも超面白かった、必見。