これはテレビでは見ることの出来ない「明石家さんま」さんの本音の部分で、ラジオだけで見せる素の姿なのではないだろうか。現在放送されているバラエティ番組をチェックし、時代の変化にも柔軟に対応しながら、常に前に向かって進んでいるように見えた明石家さんまさんなのだが、そんなさんまさんもやはり昔のテレビ番組の方が良かったらしく「昔のテレビは面白かったね。その相手に対してのキツい言葉も考えたからね。『どうしたらウケるのか』っていうのを。もちろん、テレビ番組は規制がずっとあるんですけど、その中で一番頂点の言葉をチョイスしていたのは事実」と告白した。

 この言葉から察すると、今まで試行錯誤しながらためこんできた言葉の引き出しの中には、状況に合った言葉がランク分けされていて、この状況ならこれが一番面白いというツッコミやボケの言葉があるのに、その言葉自体が時代的に使えない言葉になっており、やむなく2番目や3番目に面白いと思う言葉を出している状況なのだろう。

 1番面白いと思う言葉があるのに出せないというのは芸人として、そして「明石家さんま」として辛いはずだ。もちろんテレビに出続けたいのならば、若手だろうが中堅だろうがベテランだろうが、過去の面白かったテレビの時代を封印し、今の世の中に合った笑いを提供しなくてはならないし、変にこだわっている場合ではない。そもそも昔のテレビの面白さを知らない世代にとってはそれが芸人の当たり前の姿になるのだから、特に問題はないのだ。

……そう割り切れないから芸人はやっかいなのだ。時代には関係なく叩かれようが炎上しようが面白い事をやりたいのが芸人なのだ。