芸人にとってのラジオ番組とは、最も「素に近い自己表現」が出来る場なのではないだろうか。昨今のテレビ番組はスポンサーや世間の顔色をうかがって発言することが当たり前になっており、昔のバラエティ番組のように芸人が世間体を気にせず、思うがままにお笑いをすることが出来ない状況になっている。

 元々芸人を目指しているような人たちは真面目であることを窮屈に思い、一般的な日常では出来ないことや振り切った世界観に憧れてお笑い界に入ってきている人が大半だ。そんな芸人の本性を抑えなければテレビに出られない今、芸人たちはどこでそのストレスを発散し、不真面目と真面目のバランスを調整しているのか。それは「ラジオ」だ。

 ラジオ番組も昔に比べるとコンプライアンスが厳しくなってきているとはいえ、テレビに比べるとまだまだ自由度は高い。なのでラジオ番組ならではの「芸人の本音」が聴けることが多く、コアなファンの間では、その芸人の本質を知るにはラジオ番組を聴くのが一番だという意見すらある。