浅野いにおのダークな匂いに惹かれた

 竹中監督による漫画原作の映画化は、つげ義春原作の『無能の人』、山田孝之&齊藤工との共同監督作となった大橋裕之原作の『ゾッキ』(21)に続く3作目。今回、竹中監督は俳優としては出演せず、監督業のみに専念している。監督作が10本となった竹中監督に、原作との出会い、映画監督としてのこだわりを尋ねた。

竹中「たまたま立ち寄った本屋さんで『零落』とというタイトルが目に飛び込んできたんです。そして手に取った瞬間、夜の歩道橋に“零落”というタイトルが縦書きで映し出されるイメージが浮かびました。すべての監督作はみんなそうです。いつも直感で動くんです」

 どうしても『零落』を映画化したいと思い立った竹中監督は、出版社を通さずに浅野いにお本人に映画化したいと伝えたという。原作のどこに惹かれたのだろうか。

竹中「この『零落』という作品のすべてに惹かれました。作品の持つ空気感がたまらなかった。急いで映画にしないと!という思いもあり、映画化に向けてまずは自分で撮影稿を書いて、ご本人に映画化の許可をお願いしました。かなりしつこく浅野さんに売り込んだので、ご迷惑をお掛けしました。とにかく映画にしたいと必死だったんです。映画『零落』は浅野いにおさんへ向けた僕のラブレターです」